ボーンブロス通信

2021/02/14 14:53

        

 「なぜ鹿なのか?」でも記したように、残念ながら現在スーパーなどで手軽に買える安価なお肉のほとんどは、短期間で、脂が乗った美味しい肉を大量生産するために、拘束・密飼い飼育で不自然な高カロリー飼料を与えることによって、胃腸障害や肝機能障害、代謝異常、免疫低下を起こした不健康な動物の肉です。

 更に、それらの病気や感染症を防ぐために、抗生剤等の薬剤も使用されています。北米産の輸入肉においては、肥育ホルモン剤の使用も許可されています。

 私は、保健師として企業での健康相談も行っていますが、いわば肥満で不健康な動物の肉ばかり食べていたら、人間がメタボリック症候群になったり健康を害したりしても当然ではないかと感じてきました。           「食べたものが身体を作る」のですから。
 食べるために不健康な家畜を大量に生み出し、一方で増えすぎた鹿の頭数をコントロールするために駆除して健康な肉を捨てていることに、どうしても矛盾を感じてしまいます。
 現代人の健康を取り戻す鍵は意外とシンプルで、人間が地球の食物連鎖の輪に回帰する、つまり自然の循環(サイクル)の中に戻ることなのかもしれません。
 自然の中からいただいた命を骨まで活用し、それが私たちの健康に役立つことを考えると、ボーンブロスは自然のサイクルに即した食事と言えます。
 ジビエ料理専門店「ラ シャッス」オーナーシェフの依田誠志氏は、著書『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』(誠文堂新光社. 2016年)の中で、フォン(だしの一種)について、

「ソースが要であるフランス料理にとってはまさに命。それを尊い命を仕留めたジビエの骨やくず肉、ときに頭など、通常の可食部分以外からエッセンスとして取り出すものだから、つまり命の命とも言える。1頭1羽ずつをさばくことで出た骨やくず肉までを愛おしみ、フォンに変え、皿に戻す。それで初めてジビエ料理として完結し、仕留めた命に報いることができる。」               (依田誠志著『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』誠文堂新光社. 2016年)

と記しています。食とは本来、自然の一部を感謝していただくことであったと思います。そしてそれが地球の生態系バランスを保つ、人間の一つの役割でもありました。
 ボーンブロスに使いたい安全な骨にしても、オーガニック野菜にしても、地球環境・自然と調和するものであれば、私たちも自ずと健康でいられるのではないでしょうか?
 もちろん、鹿骨だけがベストだとお勧めするわけではありません。食事の1つとしてボーンブロスも、同じものをずっとではなく、鹿・牛・鶏・魚、など様々なバリエーションがあることが理想だと考えます。ボーンブロスに適した健康な骨の選択肢の一つとして、鹿骨をお勧めしています。
 ボーンブロスを通して、畜産動物ではない、狩猟肉の鹿骨を活用する意味について、少しでも意識を向けていただければ幸いです。

★ボーンブロスの作り方などのお役立ち記事を以下のリンクにまとめています。
ジビエで作る究極の骨だしスープ(ボーンブロス) 星くらジビエ
星くらジビエ店主が、ひとりのボーンブロスファンとして疑問に思ったことや、ルークス芦屋クリニック監修オリジナルボーンブロスの開発段階で知り得たこと、お客様からのご質問が多かったことを中心にまとめています。ジビエに限らず、あらゆるボーンブロスのガイドとしても役立つ情報をお届けします。

 


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